収益不動産に関わる方は、実にさまざまです。
何棟も所有し、修繕時期から融資条件まで頭に入っている百戦錬磨のオーナー様。
区分マンションを一室購入したばかりのオーナー様。
使っていなかった貸家で、初めて家賃収入を得るオーナー様。
親御様が所有していたアパートを突然相続し、
「家賃は入っているようですが、これは儲かっているのでしょうか」
というところから始まるオーナー様もいます。
本屋へ行けば、大家業の本が何冊も並んでいます。
インターネットにも、動画にも、成功した方の情報が大量にあります。
月に何百万円という家賃収入の話を続けて見ていると、自分も建物を一つ買えば、翌月から少し自由になれそうな気がしてきます。
物件を買う前に、気持ちの方が先に独立しています。
今回は、まだ「収益不動産に何となく興味がある」という方へ向けて、最初に見る数字の話を書いてみます。
利回り10%なら、10年で元が取れる?
たとえば、1,000万円の物件から年間100万円の家賃収入がある。
この場合、表面利回りは10%です。
計算は分かりやすく、
年間家賃収入100万円 ÷ 物件価格1,000万円 = 10%
すると、
「10年で購入価格を回収できるのでは」
と思いたくなります。
ただ、100万円がそのまま通帳に居座ってくれるわけではありません。
管理費。
共用部の電気代。
固定資産税。
火災保険。
入退去時の修繕。
設備の故障。
募集にかかる費用。
空室期間の家賃減少。
給湯器は、利回り表を読まずに壊れます。
こうした支出を差し引いて、ようやく実際の収支が見えてきます。
家賃収入より、最後に残る金額を見る
年間家賃が100万円でも、維持管理や税金などに30万円かかれば、返済前に残るのは70万円です。
ここから、さらに借入れの返済が出ていきます。
たとえば1,000万円を10年で借りれば、金利にもよりますが、年間返済額は100万円を超えます。
この時点で、家賃収入だけでは返済しきれません。
返済期間を長くできれば毎年の負担は軽くなりますが、中古物件では、築年数や金融機関によって希望どおりの期間を借りられないこともあります。
表面利回りは10%。
ところが返済予定表を隣に置くと、急に違う物件に見えてきます。
家賃がいくら入るかだけでなく、経費と返済を終えたあと、毎年いくら残るのか。
そこまで並べて、ようやく実際の収支に近づきます。
全額借入れなら、なおさら数字は厳しくなる
自己資金をできるだけ使わず、購入費用のほとんどを借入れで賄いたい。
手元資金を残せることは、修繕への備えにもなります。
ただし、借入額が増えれば、当然ながら毎月の返済も増えます。
表面利回りが高く見えても、返済後にほとんど現金が残らないことがあります。
立地がよく、建物の状態もよく、入居率が高く、価格が安く、さらに融資条件までよい。
全部そろって、価格だけ控えめ。
そんな物件は、なかなか都合よく現れません。
条件のよさは、たいてい価格にも反映されます。
安さが際立って見えるなら、まだ数字に表れていない理由がないか、一度立ち止まって確認した方がよさそうです。
相続した物件も、家賃が入るだけでは判断できない
相続で突然オーナー様になる場合は、購入時のように自分で物件を選べません。
家賃は入っている。
入居者様もいる。
だから、そのまま持っていた方がよいように見える。
一方で、修繕履歴が分からない。
今後の大規模修繕も読めない。
借入れや管理契約の内容も、すぐには把握できない。
このような場合も、まずは一年間の収入と支出を並べるところから始めます。
現在どの程度残っているのか。
数年後に大きな支出が見込まれるのか。
自分で経営を続けられるのか。
売却した場合には、どの程度の金額になるのか。
「家賃が入っているから持つ」でも、「よく分からないから売る」でもなく、数字と今後の暮らしを一緒に考える必要があります。
利回りは、答えではなく入口です
利回り10%という数字は、物件を比較する入口として便利です。
ただ、その先にある経費、空室、修繕、借入返済まで見なければ、自分にとってよい物件かは分かりません。
表面利回り。
実際の支出。
返済後に残る現金。
将来の修繕。
最後にどう手放すか。
ソラボ不動産では、物件をご紹介するだけでなく、想定される収入や支出を整理し、購入後にどのくらい現金が残りそうかを一緒に確認しています。
相続した物件についても、保有を続ける場合と売却する場合、それぞれの収支や負担を並べながら考えます。
「利回り10%」という数字に興味を持つことは、収益不動産を知るための自然な入口です。
そこから経費や返済、将来の修繕まで少しずつ整理していくと、その物件がご自身に合っているかも見えやすくなります。
購入するか、持ち続けるか、売却するか。
数字だけでは決めきれない部分も含めて、無理のない形を一緒に考えていければと思います。
元本返済の性質や、グロス利回り、ネット利回り、キャッシュフローの違いまで話し始めると、利回りの話だけで日が暮れます。今回は分かりやすさを優先して端折りました。このあたりは、また別の機会に。
弊社へのご相談はこちらからお待ちしております。