ここでクイズです。
次のうち、**「地番」**が使われているものはどれでしょう。
A 自宅に届いた郵便物
B 運転免許証の住所
C 不動産の登記簿
D 宅配便の送り状
正解はC。
不動産の登記簿です。
※お住まいの地域によっては、このクイズは成り立ちません。すみません。
では、市役所から届く固定資産税の納税通知書はどうでしょう。
封筒が届く先は、普段使っている住所。
でも、中の土地の明細を見ると地番が載っています。
一通の郵便物の中で、住所と地番が普通に共存しています。
不動産に携わっていると何とも思わなくなりますが、改めて考えると少し変な世界です。
あ、ちなみに住所と地番が同じこともあります。
「契約書の住所が違うんですが」
不動産売買が終わったあと、ごくたまにお客様から連絡をいただくことがあります。
「契約書を見直していたら、表紙の住所が家の住所と違うようなんですが……」
一瞬、不安になると思います。
買った家は「○○町1番2号」なのに、契約書には「○○町123番4」。
知らない数字が出てきています。
もちろん契約時にも説明しているのですが、不動産契約では一度に聞く話が多い。
境界、設備、ローン、登記、固定資産税。
その中に地番の説明まで入っています。
そりゃ、一つくらい記憶から出ていっても不思議ではありません。
地番は、ざっくり言えば法務局が土地を管理するためにつけている番号です。
で、普段私たちが使っている住所はまた別。
郵便を届けたり、家を訪ねたりするときに使う、いつもの「○○町1番2号」です。
そもそも地番は、明治時代に土地ごとに番号をつけて、誰の土地なのか、税金をどうするのかを整理していった流れから続いているらしいです。
ところが町が大きくなり、土地を分けたりまとめたりしているうちに、番号だけでは家を探しにくくなってきた。
そこで昭和になってから、
「土地を管理する番号とは別に、人が家を探しやすい住所をつくろう」
と住居表示が始まったとのこと。
Googleマップで家へ行くなら住所。
登記簿で土地を探すなら地番。
「家」と書くと住所を名乗るのに、「不動産」になると急に地番を名乗り始めます。
「ヂ……カツ?」
東京で仕事をしていたころ、たまたま北上の物件を査定することがありました。
資料を見ていた上司から、
「Yは岩手だったよね。これ、なんて読むの? ヂ……カツ?」
と聞かれました。
私は何の疑問もなく、
「えっ? チワリですよ」
と答えました。
しかも、そんなのみんな知ってるでしょくらいの温度で。
ちなみに、その上司は不動産鑑定士です。
しかし「地割(ちわり)」を住所として日常的に使う地域の方が全国的には珍しいと知り、なんだか無知と田舎者を曝け出しただけの状況に。
地割は私に常識を疑うことを教えてくれたのでした(恥ずかしいのでカッコよく言い換えてみました)。
同じ場所なのに、名前が二つある
さて、地番の話に戻ります。
契約書に普段使っている住所と違う数字が書いてあっても、それだけで間違っているとは限りません。
住所と地番が別になっている地域では、同じ場所でも書類によって表示が変わります。
不動産屋は見慣れているので違和感がありませんが、初めて見れば、
「これ、うちの住所じゃないけど大丈夫?」
となるのも当然です。
家の書類を見て、
「なんか住所が違う」
となったら、その番号は地番かもしれません。
同じ家なのに、普段の生活では住所、不動産の登記では地番。
名前が二つある。
不動産には、こういう知ってしまうと何でもないけれど、知らないと意味不明なことがあったりします。