家を売る。
そう決まったら、不動産会社に電話して、値段を決めて、買う人を探して、契約する。
大きく言えばその通りですが、その途中に何度か「ここを決めましょう」があります。
査定額はいくらか。
いくらで売り出すか。
どの不動産会社に頼むか。
申し込みが入ったら、その条件で進めるか。
そして契約が終わっても、鍵を渡すのはまだ先。
「売ります」と言ったら、翌週には買主さんが現れてお金が振り込まれる。
通販のようには進みません。
家の売却は一本の長い手続きというより、いくつかの判断を順番に通っていく仕事に近いです。
今回は、その全体をざっと見てみます。
まだ「売る」と決まっていなくても、話は始められる
売却のご相談をいただくとき、最初から
「売ります。お願いします」
と決まっているとは限りません。
親から家を相続した。
住宅ローンが残っている。
住み替えたいけれど、今の家がいくらになるか分からない。
そういう段階のこともあります。
なので、最初に不動産会社へ相談したからといって、その場で売却を決める必要はありません。
まず、
この家はいくらくらいになりそうなのか。
そこを知るために出てくるのが「査定」というやつです。
査定額は、「この金額で売れます」の判子ではない
査定をすると、たとえば
「2,500万円前後ではないでしょうか」
という数字が出てきます。
この2,500万円は、売却代金ではなく、売り方を考えるためのスタート地点です。
周辺の売買事例や現在売られている物件、建物の状態などを見ながら、
「市場ではこの辺りではないか」
と考えた数字です。
査定書に「2,500万円」と書いても、どこかから2,500万円が湧いてくるわけではないんです。
その金額を払ってくれる買主さんが現れて、初めて売買になります。
ここはけっこう混同しやすいので、別記事「その2,500万円、誰が払うんですか。」でも詳しく書いています。
査定が出たら、今度は売出価格を決める
査定が2,500万円だったとして、次に考えるのは、
「実際にいくらで売り出すか」
です。
少し高めから始めたい。
できれば早く売りたい。
住宅ローンの残りを考えると、この金額は確保したい。
売主様にも事情があります。
一方で、買う側は周辺の物件と比べます。
そこで、査定額や周辺で売られている物件、売主様の希望を見ながら、最初にいくらで広告へ出すかを決めます。
価格は高ければうれしい。
でも、高ければ売れるわけではない。
高い値札をつけるだけなら、今日からでもできます。
問題は、その値札を見た人がどうするかです。
この辺りの話は、「この価格では、たぶん売れません。」にもつながります。
不動産会社に頼むと、ようやく販売が始まる
売却を任せる不動産会社が決まったら、「媒介契約」という契約を結びます。
名前はちょっと堅いですが、
「この家の売却をお願いします」
という約束です。
一社に任せる方法もあれば、複数の会社へ依頼できる方法もあります。
ここから写真を撮ったり、広告を作ったり、不動産会社同士で物件情報を共有したり、問い合わせに対応したりして販売が始まります。
売主様からすると、広告が掲載されたあたりで「売却が始まった」と感じるかもしれません。
不動産屋側では、その裏でもいろいろ動いています。
媒介契約の違いや、実際に何をしているのかは、
「たくさんの不動産会社に頼めば、売れやすくなるのか ――「専任媒介」と「一般媒介」、それぞれの強みと実際の売れ方」
で掘り下げています。
申し込みが入っても、まだゴールではない
内覧をした方から、
「買いたいです」
と申し込みが入る。
申し込みが入るとうれしいです。
ただ、ここでファンファーレが鳴って売却完了、とはなりません。
ここからもう一度「決める」が出てきます。
価格交渉をどうするか。
いつ引き渡すか。
住宅ローンを利用するのか。
家具や設備をどうするか。
売主様と買主様の希望を確認して、条件を整えます。
このブログで紹介した「すんなり売れた家、3度目で決まった家――売り出しから引き渡しまで」でも、すんなり進んだ取引もあれば、途中で住宅ローンが通らず、別の買主様を探し直した取引もありました。
一本道に見えて、たまに戻ります。
契約したあとにも、まだ仕事が残っている
条件がまとまれば、売買契約です。
署名して、押印する。
でも、契約書に判を押してもエンドロールは流れません。
買主様が住宅ローンを使うなら、その手続きが進みます。
売主様側では、引越しや荷物の整理、必要に応じた登記の準備などがあります。
それぞれの手続きと日程が整ったら、最後に残代金を受け取り、所有権を移し、鍵を渡します。
ここが「決済・引渡し」です。
今どこにいるのかが分かれば、それで十分
家の売却を考え始めた段階で、査定から引渡しまで全部覚える必要はありません。
まだ売るか迷っているなら、まず相談や査定。
査定まで終わっているなら、次は価格や依頼する会社を考える。
販売中なら、問い合わせや申し込みを見ながら次を考える。
契約したなら、引渡しの準備へ。
先の工程を全部理解しようとすると、不動産用語ばかりが増えてだんだん疲れてきます。
売却は、その都度ひとつずつ決めて進んでいきます。
まずは、
「自分はいま、どの辺にいるんだろう」
が分かれば十分です。
このブログにも、査定や売出価格、媒介契約、売却事例など、それぞれを詳しく書いた記事があります。気になるところから読んでみてください。
