相続した家、「とりあえず貸す」は簡単なのか

実家を相続した。

自分で住む予定はない。

でも、すぐ売ってしまうのも惜しい。

そこで出てくるのが、

「とりあえず貸しておこうか」

という案です。

家賃も入る。

家も残る。

あとで売りたくなったら、そのとき考えればいい。

なかなか良さそうです。

ただ、「貸す」は家をそのまま保存しておく方法ではありません。

家賃だけが入ってくるわけではない

まず、貸せる状態にするところからです。

長く住んでいなければ、給湯器や水回り、エアコン、建具などを確認することになります。

クロスを直す。

畳を替える。

庭を整える。

募集を始める前からお金がかかる場合もあります。

そして、入居していただいたあとも、設備が故障すれば修理の話が出ます。

管理を不動産会社へお願いすることはできますが、大家さんの仕事が完全になくなるわけではありません。

「給湯器が壊れました」

「修理にこのくらいかかります」

「交換しますか」

という連絡は来ます。

大家さんになると、家賃の入金だけでなく、突然の「壊れました」もセットで付いてきます。

貸している間にも、家は年を取る

もう一つ考えておきたいのが、建物そのものです。

自分の家なら、

「ここ、ちょっと傷んできたな」

と気づいて手を入れるところでも、賃貸では少し事情が変わります。

もちろん丁寧に住んでくださる方もいます。

ただ、借りている家と自分で所有している家では、気づき方や手の入れ方まで同じとは限りません。

そして、都内の一部マンションのように、「持っていたら数年後にずいぶん値上がりしていた」というニュースを、そのまま盛岡の住宅に重ねるのは難しいところがあります。

土地や建物の条件によりますが、年月とともに建物の評価が下がっていくことは珍しくありません。

貸して家賃を受け取る。建物の劣化が進んでいく。

この二つは同時に起こります。

「あとで売ればいい」、いろんな事情もあとから増える

では、何年か貸してから売ればいい。

もちろん、それも選択肢です。

ただ、その頃には今より建物が古くなっています。

修繕が必要になっているかもしれない。

そして入居中なら、自分たちの都合だけで「来月から空けてください」と簡単に話を進められるものでもありません。

売るときにどんな状態なのか。

誰に売るのか。

その頃の相場はどうなっているのか。

「売らずに貸した」ことで、選択肢を残したつもりが、別の条件が増えていることもあります。

貸すことで、しっかり事業になる家もある

ここまで書くと、

「じゃあ相続した家は貸さない方がいいのか」

となりそうですが、そんな話でもありません。

立地がよく、賃貸需要があり、必要な修繕費と家賃のバランスが取れる。

そういう家なら、きちんと収益を生む資産になります。

貸した日から、大家さん

「売るのは惜しいから、とりあえず貸す」は、保留とは少し違います。

貸した日から、大家さん。

「とりあえず」と呼ぶには、少し仕事が多い業種です。

貸すことを選ぶと、その家は「残してある実家」から、「運営する物件」に変わります。

賃貸に向いている家もあれば、売却の方が現実的な家もあります。

相続したばかりで、まだそこまで決められないこともあると思います。

その家なら、貸したらどうなるか。売ったらどうなるか。まず両方を見てみるところからでもいいと思います。

「とりあえず貸しておこう」と考える理由の奥には、

「まだ、この家を売る決心がつかない」

という気持ちが残っていることもあります。

家賃や修繕費では計算できないものが、実家にはあります。

実家を売る決心がつかない。査定書に載らない、いちばん重いもの

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