購入を迷っていた中古住宅が、他の方に売れた。
すると、その物件が急によく見えることがあります。
駅から少し遠かったはずなのに、静かで暮らしやすい場所だった気がする。
築年数が気になっていたのに、手を入れながら住むのも楽しそうだったと思えてくる。
狭く感じたリビングも、家具の置き方次第では十分だったのではないか。
売れる前にはいくつも見えていた欠点が、売れた途端に少しずつ退場します。
最後に残るのは、
「あの家、買っておけばよかったかもしれない」
という気持ちです。
不動産に限った話ではありません。
見送った株と、離れた釣り場
買おうか迷って見送った株が、その翌日から上がる。
「今は入るところではない」
と慎重に判断した直後、きれいな右肩上がりになる。
釣りでも似たことがあります。
しばらく粘っても何も釣れず、魚はいないと判断して場所を移動する。
そのあと同じ場所に入った人が、あっさり釣り上げる。
魚も株も物件も、こちらが見切ったあとによく動きます。
もちろん、実際にはこちらの判断など見ていません。
ただ、結果を知ったあとでは、過去の選択が必要以上にはっきり間違って見えます。
売れた物件は、もう欠点を見せない
購入を検討している間は、慎重になります。
屋根の修繕にはいくらかかるのか。
冬の道路はどうなるのか。
収納は足りるのか。
住宅ローンを返しながら、設備交換にも備えられるのか。
数千万円の買い物ですから、迷うのは当然です。
ところが、その物件が他の方で成約すると、検討は途中で強制終了します。
もう内覧はできません。
実際に暮らしたときの不便さも確かめられません。
そのため、頭の中には長所だけが残りやすくなります。
日当たりのよいリビング。
気に入っていた庭。
予算内だった価格。
一方で、購入をためらった理由は少しずつ薄れていく。
売れた物件が急によくなったのではありません。
比較できなくなったことで、都合よく完成したのです。
見送った判断が、間違いだったとは限らない
物件が売れたあと、
「もっと早く申し込めばよかった」
と思うことがあります。
しかし、当時の自分には見送る理由があったはずです。
予算を超えていた。
修繕費が読めなかった。
家族の意見が揃っていなかった。
立地や住宅ローンに不安があった。
こうした理由が今も重要なら、売れたからといって判断が間違いに変わるわけではありません。
むしろ、
「また売れてしまうかもしれない」
という焦りが判断を誤らせるかもしれません。
見送った理由を残しておく
購入を見送るときは、その理由を簡単に書き残しておくと役に立ちます。
価格が予算を超えていた。
駐車場と雪置き場の両立が難しかった。
建物の修繕に不確定な部分が多かった。
学校には近いが、将来の通勤には不便だった。
あとから惜しくなったとき、そのメモを見返します。
理由を見てもなお、
「この条件なら受け入れられた」
と思うなら、次の物件では判断基準を少し変える。
反対に、
「やはり当時の条件では買えなかった」
と思えるなら、見送った判断には意味があります。
後悔をなくすことは難しくても、次の判断材料にはできます。
買わなかった家より、次に見る家
中古住宅は一点ものです。
検討している間に、他の買主様が購入することもあります。
だからといって、すべてを急いで決める必要はありません。
大切なのは、何日悩んだかではなく、何を確認できれば決められるのかを先に持っておくことです。
予算。
地域。
建物の状態。
修繕費。
家族にとって譲れない条件。
これらが整理されていれば、決めるときは自然と早くなります。
見送った物件は、売れた途端に魅力が増します。
買わなかった株は上がり、離れた釣り場では魚が釣れる。
人生は、こちらが選ばなかった方の結果だけを、ずいぶん鮮明に見せてきます。
それでも、過去の物件を頭の中でリフォームし続けても、そこには住めません。
大切なのは、買えなかった家ではなく、次の物件を前にしたときの自分の基準なのだと思います。
次に見る一軒は、案外すでに売り出されているかもしれません。
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まだ購入を決める段階でなくても構いません。まずは、どんな物件があるのかを見るところからぜひ始めてみてください。
