不動産の売却には、大きく分けて「仲介」と「買取」があります。
仲介は、不動産会社が買主様を探す方法。
買取は、不動産会社が直接買主になる方法です。
「どちらの方が得ですか」と聞かれれば、価格だけなら仲介に期待できます。
ただ、家を売るまでには時間があります。
その間も草は伸び、雪は積もり、郵便受けは静かに中身を増やします。
不動産は、売れるまで空気を読んで管理を休んでくれません。
もう少し待てば、高く売れるかもしれない
以前、遠方にお住まいの売主様から、空き家となった住宅の売却相談をいただきました。
建物の状態を考えると、時間をかければ一般の買主様が見つかる可能性はあります。
そのため、まずは仲介で売り出しながら、並行して複数の不動産会社から買取価格も取りました。
仲介なら、より高く売れるかもしれない。
買取なら、価格は下がっても売却時期が読める。
売主様の中にも、
「もう少し待てば決まるかもしれない」
という気持ちと、
「雪も降るし、年を越すのはちょっと……」
という気持ちが、同時にありました。
遠方から建物を確認する負担。
除雪の手配。
近隣の方から見られているような落ち着かなさ。
最終的に選ばれたのは、価格が低くても、早く手を離せる買取でした。
売却が決まったあと、売主様が見せたのは、金額に対する喜びというより、長く背負っていた荷をようやく下ろしたような安堵でした。
遠方にある家を、この先どうするのか。
除雪や草刈り、建物の状態、近隣の方への気遣い。
一つひとつは対応できても、所有している限り、頭の片隅から完全には離れません。
年を越す前に売却を終え、
「これで、ようやく一区切りつきました」
とほっとされていました。
買取によって手放したのは、不動産だけではありません。
その家を気にかけ続けなければならない時間も、一緒に手放せたのだと思います。
仲介は価格を狙い、買取は売却までの負担を減らす
仲介では、広く広告を出し、一般の買主様を探します。
条件が合えば、買取より高く売れる可能性があります。
一方で、購入希望者が現れる時期は読めません。
広告や人の出入りから、近隣の方に売却を知られる可能性もあります。
購入申込みが入っても、住宅ローンの審査などにより、必ず予定どおり成立するとは限りません。
買取は、不動産会社と条件がまとまれば、売却時期を決めやすい方法です。
繰り返しの内覧がなく、残置物を残したまま引き渡せる場合もあります。
つまり、
仲介は、時間をかけて価格を狙う売り方。
買取は、価格の一部と引き換えに、時間と確実性を得る売り方。
どちらが上という話ではありません。
築浅でも、高く買い取ってもらえるとは限らない
築3年ほどの住宅なら、買取でも高く売れそうに見えます。
建物はまだ新しい。
ただ、住宅ローンもほとんど減っていません。
一方、買取会社は買った家を再販売して利益を出します。
リフォーム費用、販売経費、保有中のコスト。さらに、売れ残る可能性まで見なければなりません。
「たぶん、このくらいで売れるでしょう」では買い取れないのです。
再販売できる価格から逆算するため、仲介価格より低くなります。
早く手放したくても、ローンだけ残っては売却後の方が困ります。
築浅住宅こそ、仲介価格と買取価格、そして現在の残債を並べて考える必要があります。
築30年ほどの住宅は、別の難しさがある
築30年前後になると、一般の買主様にも簡単には決めてもらえないことがあります。
屋根。
外壁。
水回り。
給湯設備。
断熱や窓。
価格だけを見ると手頃でも、必要なリフォームを足していくと、買主様の手が止まります。
売主様は、その家で過ごしてきた時間を見る。
買主様は、その家でこれから過ごす時間を見る。
「直せばまだ住める」と「直してまで買うか」は、似ているようで違います。
仲介で売り出したものの、なかなか成約せず、最後に買取へ切り替えるケースもあります。
それなら最初から買取が正解だった、とも限りません。
仲介で市場の反応を確かめたからこそ、売主様が買取価格に納得できることもあります。
高く売ることだけが、よい売却とは限らない
時間に余裕があり、管理にも困っていない。
建物の状態がよく、一般の買主様が検討しやすい。
少しでも高く売りたい。
その場合は、仲介が合います。
反対に、
遠方に住んでいる。
空き家の管理が負担になっている。
残置物を整理できない。
近隣にあまり知られたくない。
売却時期を確定させたい。
そうした事情があれば、買取によって得られる安心は小さくありません。
売却価格は大切です。
ただ、その家を持ち続ける時間が、自分の暮らしに何を残すのかも考える必要があります。
固定資産税だけでなく、管理の手間、移動時間、心配する時間も含めて。
少しでも高く売ることを優先するのか。
できるだけ早く、負担を手放すことを優先するのか。
仲介で動きながら、買取価格も確認するのか。
どれが合うかは、物件の状態だけでなく、売主様のご事情や今後のご予定によっても変わります。
ソラボ不動産は、それぞれのご事情を整理しながら、売却のお手伝いをさせていただきます。